【Review Essay】2018/1/20 Sarah Lancman / Inspiring Love ~故郷の朝、ジャズが凪がす景色


京都の早朝は東京のそれとは打って変わってひたすら澄んでいる。鳩やカラスが思いの外自由そうにあちこち鳴くし、何よりジャズが似合う。割とどんなものも合う。

ちょうど聴いていたSarah Lancmanは特にその雰囲気にマッチしていて思わず今、携帯のメモに言葉を走らせている。

Sarah Lancman、彼女は正統派なジャズながら上品に歌い上げつつもスモーキーで繊細な特性を持つシンガーソングライターである。

フランスで活動する彼女がジャズ・コンペティションを介してクインシー・ジョーンズにその才能を認められたことをきっかけに、スタンダードやカバー中心の自主盤「Dark」をリリース。

フランスのカフェでお茶をしていたところをたまたま天才ジャズ・ピアニスト(好きすぎて豪華にしたはず…の敬意が思わずペテン師ぽくなる)、ジョヴァンニ・ミラバッシが隣に座っていて、声をかけアルバムを手渡したら数ヵ月後、何とミラバッシから返事があり、ライブを依頼したのをきっかけにオリジナル中心の2作目「Inspiring Love」を制作。

ものすごくうらやましいシンデレラ・ストーリー。。

――「Inspiring Love」、

2作目のこの雰囲気が、何とも 降り立った京都の朝にしっくりとくる。

1st「Dark」とは違い全編自身のオリジナルで挑んでいるものの、楽曲への愛、彼女の歌やフレージングの豊かさ、世界観が見事に表現されている。

ドラムスはNYの現行ジャズ界にも名を馳せる名手。あのジェフ・ワッツに才能を認められ、Kevin Eubanksのバンドでも活躍する、Gene Jackson。

かたやベースはイタリアの作曲家、アレンジャーとしても評価の高いジャズマン、Gianluca Renzi。

ゲスト参加するTpは

シピアギン!あ、Alex Sipiaginです(笑)

最近のコンテンポラリージャズ、ボーカルもので好きなタイプの作品には結構な確率で参加している。彼は元々ロシアの人だけども、地域を限定せずに活躍しまくるトランペッターで。

そんな多国籍かつ、実力派が並ぶのトリオ(たまにワンホーン)編成の保証付きでもある作品。

おススメとしてはタイトルにもなっている1. Inspiring Love、

シピアギンソロが堪能できる 3. On the Other Side of the World、

そしてトラック9,10の計4曲。

ミラバッシの繊細かつアートのようなピアノがその世界を彩る。特に10曲目のTalk to Meのソロは以前私のツイッターでも触れましたが悶絶する。

曲の良さ的な観点で見ると私は、

1. Mysterious Laneという曲が、一番好きだ。

歌謡ポップスっぽさもどこか兼ね備えた作風で(聴いたら冒頭でわかるはず)今日の朝にあまりにもどハマりしていた。寒いにも関わらず、冷えたコーヒーさえも美味しい。ループして聴いてしまった。

…と思いきや、Apple Musicにしかな音源がなく…是非、登録されている方は聴いてみてください。ない人は某ユニオンでお求めください。。

かわりに同じアルバムから、YouTubeにあった こちらも同じ色身を放つ「Qui?」という曲を。情緒あるこのテイストが好きなら、私と馬が合いますで(笑)

さて、来月来日公演を控えるサラとミラバッシ。何より驚いたのはもうすぐ新作が出るのと、日本語のカバーがあるのと、featuringでボーカル&フリューゲルホルンのTOKUさんが2曲参加していること!

もう新作出るのか!(゚Д゚ノ)ノ

とテンション上がってしまいました。(笑)

しかし話は戻りますが、ヨーロッパの雰囲気は似て非なるものではあろうが京都の趣のようなものがある気がする。

自然の隙間をある程度残しつつ、計算された街には不思議な魅力がある。

まだ薄明かりで山霧が落ちる京都が妙に魅力を放っている頃、サラの曲を聴き、見惚れながらいつもの足取りが無意識に家へ向かう。

ふと、周りの人達が私の方を見る視線に気づくと、自分は東京に慣れてしまったなぁと思う。

他の人にじろり、と目を向けるのも京都人独特だと私は個人的には思っている。(いい意味でも悪い意味でm…)

私自身、初めての作品となるアルバムレコーディングを控えた今週末。

そのリハーサルスタジオの予定ある今日が はじまる前のタイミングで、いろんな気付きを得れて良かったと思う。

余りにも新鮮で、それに少々多感になる程、素晴らしい故郷の朝。

現象全てにはつながりと意味があると思う。好きな作品で、頭と耳を満たすことが出来たし、今更ではあるが故郷京都への思いや 離れてこそ分かる魅力、みたいなものを再発見することができた。初心という気持ちよりはむしろ、元のイメージからさらに増築したみたいな、それは美しい朝でした


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