ジャズボーカルをしっかりと聴き始めた頃に出逢った、このダイアナ・クラールのDeed I Doという曲。 軽快な感じに彼女のハスキーで大人な声が新鮮でしたが、本来はとっても可愛げのある曲なのです。
Do I love you? 私、あなたのことが好きかもしれない Oh my do I ええでも本当に 私 Honey, indeed I do 本当にあなたが好きなの
Do I want you? あなたのことが欲しいなんて Oh my do I 本当に 私 Honey, deed I do あなたが欲しい 本当に
I'm glad that I'm the one who found you あなたを見つけられて私心から嬉しくて That's why I'm always hanging around you いつでもあなたの周りにいてしまうから
Do I love you? 私、あなたのことが好きなのかなって Oh my do I ええでも本当に 私 Honey, deed I do 本当にそう思うわ
こちらは私の好きなアルバムでもあるBlossom Dearieの1曲目に収録されている曲です。 彼女のイメージらしく可憐な雰囲気。
こういった感じで調べて聴いて、どんどんと様々なバージョンのスタンダードを聞いていくうちに、私はジャズの世界にひきこまれていきました。 そんな小さなきっかけが今の私をつくって、今では大きな存在になっています。
日常のほんの小さなきっかけ、 もともと2分半という本当に短い間の曲が、 大げさかもしれませんが1人の人生の行く先を変える。
言い換えれば、たとえば誰かが言った一言、些細なことが、 自分の気持ちや今までを変える、きっかけになることってあると思います。
昨日書いたブログにあったように私はもともと思考がマイナスだという話をしました。
だからなのか、わりかし自分の周りには深く考える人間が多く、
私が相談を持ちかければ、親身に、というか入り込んで考えてくれる人が多いのです。
私が堂々巡りで、同じように考えて逆に私の相談者の方が落ちてしまうこともありました。
私にとっては意図していないことで、でも起こってしまったことで。
そんな悲しい気持ちの行く場所がないまま時がたって そして、
何かをきっかけにその後悔を思い出すことが多かったわけです。
私はこのアルバムを作る時も、最近、自分のオリジナル曲を練る上でも、
毎度、毎曲、そういう周りへの気持ちと、自分の2面的な部分に向き合ってきました。
向き合う、私の中では磨き上げて形に残すことを
「お墓を建てる」
と呼んでるのですが、
(またやばい奴だ…と思われるかもしれませんが(笑))
作品を作るというのが、自分にとってはまさに1つの気持ちや1人への届かなかった思いを葬る気持ちでいつも歌い、向き合うようになってきました。
マイナス気質な私がそう発想を転換できるようになったのも、
様々私の考え方や傾向を考えてくれた、周りの家族、
そして何より約1年ほどお世話になっているギタリストの舩冨氏のおかげでもあります。
なんだかんだ自分のことがわかる人は自分しかいない、という人もいますが…
私は生まれてこの方、自分がどう思っているか、何がやりたいかというのが
いまいち自身で分らない人間でした。
「いやいや、何言ってるんだ、歌がありますやん」
そう言われそうですが、実は歌を続けている理由は
元来 不器用で人見知りだった私が、歌っているときは周りが笑顔になり、
「よかったよ」「うまいね」と褒めてもらえる場所だったというだけで、
私の表現する手段であり、もし明日声が出なくなれば、
それはかなしいことですが、他の方法を模索するだろうなと、
無理して歌うではなく他の表現を探すのだと思います。
意外!と言われそうですが、
もちろん歌う事が、感じるままに好きであるだけで、実はそこまでこだわりがないのです(笑)
なので そういう思いだからこそ、特に落ち込むときは落ちます←
音楽が自分の求められている場所な気がする。
ずっと歌っている気がする。
「うまい」「良い」だけど、自分のあるべき音楽性が分らない。
自分がどうしたいかわからない。
ただただ漠然とした悩み。
何かでいなければならないような、
むしろ周りの人たちのように何かの役職を持ったり、家族をもったり、
そんな人であることがうらやましいと。
無い物ねだりなのはわかっていても、そう考えてならない時がありました。
そう思って就職して音楽絶ちをしていたこともあるくらいなのです。
その思いに関係して、アルバム制作の話に戻りますが、
このアルバムをつくることが決まったのが昨年の年末でした。
良いチャンスが目の前にあるにもかかわらずに、
時期的にまさに上記したようなスパイラルに陥ってしまっていたこともあり、
収録曲は「自分の得意な曲」でと思って即刻 曲目を決めていました。
それを舩冨氏に持ちかけたところ、
舩:「ほんまにこれでいいんか?」と言われてしまったのです。
私:「え( ˙ө˙)←」
といいつつも、正直自分の選んだ曲を見返すと確かに、考えはしたものの、
何か強い思い入れみたいなものがあるわけではありませんでした。
私が歌い続けてきた曲だから、それだけ。
彼は続けてこんなことを言ってくれました。
舩:「初めてのアルバムなんやろ?それなら今後出会うミュージシャンとかにも渡せるように、自分の名刺代わりになるようなモンにせんと。自分のできることとか、どういうアレンジで、どういうキーでやるのかも大事や。ちょっと1回、1から練り直し。それからでもアレンジや構成はいろいろ考えたるから。」
私の中で、スーッと何かが解けていくような感覚でした。
その言葉は私の中では とても大きくて、今でも一字一句忘れられないほど衝撃で。
彼にとっては素直に思ったことを言っただけなのかもしれません。
だけれど 私にとっては、言葉では言い表せないほど 刺さるような、大きな言葉でした。
そこから毎日、アルバムのコンセプトも考え、何の曲にするかを考えて、
舩冨氏はレコーディングぎりぎりまで 様々詰めて考えて頂きました。
本当にありがたいことに、自分のスキルアップにもなるからと 嫌な顔1つせずに請負って頂けたのです。
そういう姿勢を見ている中で私も 教えている生徒や、自分よりも後輩の存在の人たちに、同じような気持ちで協力できるようになりたいし、
頼ってもらえるように少しでも自分ももっと音楽の勉強をして、自分でもしっかり作れるようになりたいと自ずと思うようになりました。
サポートとしていつもギターでお世話になっている人から逆サポートを受けるかたちになりましたが(笑)
本当にその分自分もお返しできるように頑張ろうと思うきっかけとなったのです。
それでもたまに悲しくなるときには 言葉を残しておいて
あとから「お墓をたてる」(笑)
そうしてその気持ちが音に乗っていつかの誰かの同じような気持ちを慰めるような、
そんな歌になればいいなと思います。
そう思わせてくれた舩冨氏と、
アルバム製作中に支えてくれた家族、友人には本当に感謝しています。
日常のほんの些細な 2分半にも満たない言葉の種をなくさないように。
毎日少しずつでも歩みを止めず、ちょっとずつ成長していけばいい。
きっと私が笑顔で元気で進んでいくことが、悲しい気持ちでいるよりも
周りにいい影響をもたらすことが出来るんだと、
Deed (Indeed) I Do、まさにそう、思うのです。